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情報社会の理念とその歴史的位置

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1.封建制社会の理念は、封建的身分秩序、それを支える儒教的(身分制を合理化する)思考方法にある。即ち、被支配者に対して忠孝(忠義・孝行)を求め、支配者に対しては自らの生活態度と統治行為に高い倫理性を求めることで、秩序があり安定した幸福な社会が実現されるとするものである。封建制社会の特性は、相互拘束的共同性にある。
  この理念に基づく封建制社会では、固定的な身分秩序により社会的地位や職務が諸個人の意志にかかわらず生まれながらに決定され、それを受け入れることが強制されることで、革新的な創意が抑制されて社会の総体的な発展が阻害され、安定しているが停滞した社会となる。

2.資本制社会の理念は、自由な市民による民主制、それを支える市民=本源的に不可侵な人権を持っている自立的な個人という天賦人権的思考方法にある。即ち、自立的な個人が市場での経済合理的(利己的)な判断に基づいて自由に物財を生産・流通・消費することで、市場原理によって資源を最大限効率的に利用して物的豊かさを最大化することができ、その物的豊かさと自由の中で多彩な文化が醸成される社会が実現されるとするものである。この資本制社会の特性は、自立的な個人と共同性が実現される場としての市場との分離にある。
  この理念に基づく資本制社会では、資本主義は自立的な個人による経済活動を民主的に運営しようとする唯一のモデルであるという主張に見られるように、自立的な個人の市場での自由競争によって公平性が実現されるという信仰によって、市場(投機家の鉄火場)の判断を神の判断のように崇める。そのため、経済力及び情報力で大きな差のある諸個人・企業が、自由競争の中でより強者となるために際限のない利潤追求を行うことになり、経済的強者が弱者を犠牲にしないと経済が成り立たないために著しい格差社会となるとともに、不安定な経済的強者に振り回されて社会の不安定化を来たし、さらに環境破壊が限界近くまで進んで人類にとっての地球環境が危機化することになる。

3.情報化社会の理念は、自然(地球)・歴史(人類史)に規定されて蓄積・展開してきた結果として構成されている社会的環境の下で相互に連携している諸個人による相互規定的でフレキシブルな共同制、それを支える諸個人が情報ネットワークによって多元・多重に連携している社会という思考方法にある。すなわち、諸個人が情報ネットワークを通した社会との多元・多重的な連携の中でそれを認識しつつ活動することで、諸個人が社会の中で必要な自らの役割を自覚して自主的に生き生きとして活動する自由で公正な社会が実現されるとするものである。この情報化社会の特性は、相互連携的共同性にある。
この理念に基づく情報化社会では、社会の連携のあり方を維持・発展させるように諸個人が活動することが、共同的(公共的)価値を持つとともに諸個人の「生きがい」となり、その諸個人の「生きがい」が社会発展の動因となる。また、情報は無限に複製可能でかつIT技術の発展によってグローバルな情報ネットワークが形成されているため情報を瞬時にグローバルに伝達することができることによって社会がグローバル化しており、それによって人類全体にとって公正でかつ地球環境の保持に寄与する活動が担保されるグローバルな社会構造を実現できる可能性を持つことになる。